師匠も私も走る年の瀬です。
私は数年前からこの時期に「かぶら寿司」を漬けています。
わりと有名になってきたのでご存知の方も多いと思いますが、北陸の郷土料理で、寿司といっても現在の寿司とは違う、〆サバや塩ぶりを蕪ではさんで麹で漬け込む、古代の寿司です。
私の父の生まれは京都なので、小さいころは京都の料理だと思っていましたが、祖父母は若いころに兄弟たちとともに北陸から京都に移住してきていて、その生まれ故郷金沢の料理であると知ったのは結構大きくなってからでした。
毎年正月の御膳には祖父が漬けた「かぶら寿司」が並び、大人たちがお屠蘇をやりながら美味しそうに食べていたものです。もちろん子供たちも大好きでした。
祖父が亡くなってからは祖母が漬け、祖母が亡くなってからは、一代すっ飛ばして私が漬けているということです。
親父は食べるだけの役ですが、50年以上毎年食べていた舌は山木家の蕪ずしの指標となっています。
「今年はちょいと塩がききすぎだ。」とか
「麹が甘すぎる」とか
言うだけ。
レシピ紹介。
麹でつける本漬けの前に準備しておくものは、
1.塩漬けのカブ
2.麹の漬け汁
3.しめ鯖
4.千切りのコブ、人参、乾燥トウガラシ
本漬けの3日前にカブを切ります。真ん中に切れ込みを入れてしめ鯖が入るポケットを作ります。
塩はカブの3%。
麹のつけ汁は本漬けの1日前に作ります。
私の場合はサバ4匹分、約160切れのかぶら寿司を漬けるので、米1升焚きます。
炊き上がったご飯を手で触れる程度に冷ましたら、水を800ml加えてかき混ぜ、そこに麹を500g、手でもでほぐしながら加え、混ぜ合わせます。
コタツなどに入れて40度付近で1日保温し麹を伸ばします。高温になりすぎると麹菌よりもそのほかの雑菌が増えやすいので要注意。
本漬け当日、用意しておいた人参、コブ、乾燥とうがらしを千切りにします。
しめ鯖を切ります。切り口が大きくなるように切り込み角度を調節し、カブの大きさに合わせるといいと思います。
漬けてあったカブを取り出し、ザルに開けておきます。
これで本漬けの準備が整いました。
樽の一番下に麹を薄く伸ばしてから、しめ鯖を挟んだカブを並べていきます。
なるべく隙間なく並べたら、
麹を上からかけて伸ばします。
麹が多い方が美味しいですが、あまりたっぷりかけて、最後に足りなくなると怖いので、はじめは薄めにかけていくのをお勧めします。
麹の上に刻んだ人参、コブ、たかの爪を振ります。
これを繰り返して行来ます。
最後に重石をします。
二日後に重石を取って、上がってきた水を捨てます。
後は冷暗所において1週間ほどで食べごろとなります。
行程が多いので手間はかかりますが、材料さえ揃えられれば難しくないのでチャレンジしてみてください。